香港の大規模デモ
最近、ニュースで話題になっている「香港の大規模デモ」。
多くのメディアで騒がれて、小耳に挟んだ日本人の方も少なくないはずです。
ここ最近、僕も台湾人の友人たちがSNS等で「香港の大規模デモ」についての心境や考えを投稿しているのを幾度となく見かけました。
しかし、一方で多くの日本人はなぜ香港のデモがなぜ起きたのか、香港人の方々が何を求めているのか、おそらく理解されていない方が多いのではないかと思います。
というか、そもそも、
「香港・台湾・中国の関係についてイマイチわからない‥‥。」
という方が大多数ではないでしょうか。
今回の「台ホレ」では、香港の大規模デモを「きっかけ」としてそんな三者の関係を整理していこうと思います。
一見「香港」と「台湾」で関係のない話に思えますが、
その2つは密接に複雑に絡み合っているのです。
中華人民共和国と中華民国
「中国」という言葉の定義
皆さんは、「中国」という国名の正式名称に2通りの答えがあることをご存知でしょうか。
1つは「中華人民共和国」。
今現在日本で使われている「中国」はこの「中華人民共和国」を指します。
しかし、「世界史上」にはもう1つの「中国」が存在します。
それは「中華民国」です。
現在では、「中華民国」は日本では主に「台湾」と呼ばれている地域の国名です。
このブログでも「中華民国」のことを「台湾」と呼んでいます。
ただ、その「台湾」では「台湾憲法」ではなく「中華民国憲法」があり、
「台湾」人のパスポートには「中華民国」の文字があります。
事実上、台湾には「中華民国」という国が存在しているのです。
しかし、日本政府の立場は「中国」=「中華人民共和国」であることが1972年に発表されています。
つまり、中華民国(台湾)という国を認めていないということです。
それに加えて、台湾が中華人民共和国の一部であることも認めています。
一方で、「台湾とは非政府間の実務関係として維持していく。」と述べ、
国同士の正式な付き合いはできないけれども、「『台湾』という中国と別の存在があること」は黙認するという、どっちつかずの対応でお茶を濁しているのが現状です。
いきなり、話が長くなりました笑
まあ要するに、
1、「中国」という国名は「中華人民共和国」と「中華民国」の2通りの解釈があること。
2、日本人が「台湾」と呼ぶ地域には「中華民国」という国が事実上存在していること。
3、現在の日本の立場は、【「中国」=「中華人民共和国」】であり、中華民国(台湾)を正式に国としては認めていないが、中国と別の存在であること自体は認めている。
という3つの矛盾があるということです。
「一つの大きな中国」という解決
先ほどの段落では、
中華民国(台湾)が非常に「微妙かつ曖昧な存在」になっていることを書きましたが、
では、なぜそんな不安定な立場に立たされている中華民国(台湾)が事実上存在できているのか。
どういう方法で現状維持をしているのか。
そのキーワードが「一つの大きな中国」という言葉です。
「一つの大きな中国」とは、噛み砕いて説明すると【「中国」という国は世界に一つしかない】という表現になります。
これは、中華人民共和国側と中華民国(台湾)側で共有されている考えです。
「???」となりませんか
お互い(中華人民共和国と中華民国)にその存在の正当性を示したいはずなのに、なぜわざわざ一つに絞るのか。
この建前を理解するには地図をみるとわかりやすいです。
「中華民国 領土」で検索してみてください。
驚くことに、台湾だけでなく中国大陸まで中華民国の領土であるという主張なんですよね‥‥
そして、中華人民共和国ももちろん台湾の領有権を主張しています。
つまり、中華人民共和国側の主張にたっても、中華民国の主張にたっても、
中国大陸と台湾は同じ国の帰属になるということなんですよね。
それがどういうことか。
台湾が中華人民共和国・中華民国どちらのものかという議論ではなく、
中国大陸と台湾はセットという前提のもと、どちらの国が正当な国であるかという議論になるということです。
中国大陸も台湾も「自分たちのもの」であると両者が主張することで、どちらの主張を採用しても「中国という国は世界に一つしかない」という結論になるわけですね。
結局、両国はこの「一つの大きな中国」という考えの下、先ほどの段落であげた矛盾を含みつつも現状を維持しているんです。
まあよく考えたというか、中華っぽい解決というか‥‥苦笑
日本の立場も曖昧ですけど、まあ致し方無いところはありますね‥‥
とは言いつつも、現状は常に変化していっています。
次は一旦台湾から離れますが香港のことについて書いていきます。
ちょっと長くなりそうなので今日はこの辺で!!
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